LEAF Vol.66 本で旅する
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旅が好きだ!
河出書房新社 編
角田 光代 他著
河出書房新社
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あなたは旅が好きですか?
これは旅好きの21人が若い読者に贈る、旅の魅力を全力で伝える本です。
日本には47都道府県がありますが、全部行ったことがないなとふと思ったことがきっかけで旅好きになったり、「地球はドデかいテーマパークだ」と、海外に初めてひとり旅に出かけた時に感じたり、旅先で体調を崩したり、トラブルに巻き込まれたり。楽しいことばかりだけではないけれど、でも思い返すと全てがキラキラしていた旅先での出来事。
コロナ禍(か)でなかなか外出が難しい時ですが、現代ではインターネットという便利なツール
があります。
それを駆使して旅に出なくても情報を手に
入れたり、または発信したりすることができます。
そのよ
うなネットの使い方や旅のブックガイド、歴史上の旅人
達なども紹介しています。旅に行きたいという好奇心を
ビシバシ刺激する一冊です。
宇宙飛行士に聞いてみた!
ティム・ピーク 著
日本文芸社
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旅とはいえども、これは未知なる世界、宇宙での暮らしの事。
イギリス人宇宙飛行士ティム・ピーク氏によるリアルな宇宙の話です。
ティム氏は2015年12月に国際宇宙ステーション(ISS)に到着、滞在し、2016年6月に地球に帰還しています。
宇宙と言えば、日本でも2020年12月に「はやぶさ2」が地球に帰還して、おおいに盛り上がりましたね。
私達には謎だらけの宇宙について、Q&A方式で答えています。
「どうしたら宇宙飛行士になれるのか」という定番の質問から「宇宙でいちばん怖かった瞬間は」、「お気に入りの宇宙食
は」、「宇宙に匂いはある?」、「ISSでもWi-Fiは使えるの?」などなどたくさんの興味深い質問に丁寧に分かりやすく答えています。
読めば読むほど、知れば知るほど宇宙の謎と神秘の虜になりますよ!
クマムシ調査隊、南極を行く!
鈴木 忠 著
岩波書店
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クマムシ研究者の著者が南極観測隊に参加し、長い長い道中を経て南極に行き、そこで過ごす様子をユーモアたっぷりの文章で綴っています。
クマムシとは体長1ミリにも満たない動物です。
(カラー写真有)南極までのルートは、日本からオーストラリアまで飛行機で行き、オーストラリア西岸のフリーマントル港から砕氷艦「しらせ」に乗船して約1か月の船旅を送り、さらに大型ヘリコプターに乗って居住地である昭和基地にやっと到着します。
船はけっこう揺れるので、本を読んでいると酔ってしまいそうな気分になります。
このハードな長旅や滞在を支えているのは、娘のユリちゃんとのメールのやり取りや毎日の食事、運動、仲間達とのコミュニケーション、そして南極の雄大な自然や動植物などなのだと感じます。
観測隊員になったつもりで、南極の雰囲気を感じてみてください。
医者のたまご、世界を転がる。
中島 侑子 著
ポプラ社
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自分の知らない世界をたくさん残したまま、医者になってもいいのか?
医学部に在籍していた著者は心に疑問を持ち、医師という職に就く前の20代で約3年間、52ヵ国の世界一周の旅に出ます。
ネパールで訪れた小さな村の小さな診療所。
そこには、診療所の責任者として村民の命を守っている若者が1人いました。日本ではたった1人で患者さんを診るなんてことはないし、医療設備も充実しています。
怖くないのか?そんな疑問が湧きます。
インドに行った時に水質の悪いガンジス河に浸かって、翌日高熱を出したり、医者だと分かると、現地の人に健康相談をされることも。
旅先でも何かと医療や健康と関わる日々を過ごします。この体験や出来事などが医師という職業に就くことに自信のなかった著者の心を強いものにしていきます。
キッドナップ・ツアー
角田 光代 著
理論社
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夏休みに入った小学5年生のハルは、2カ月前に突如失踪した父に「誘拐」されることに。
これはダメな父親と奇妙な旅を体験する女の子のひと夏の物語です。
抑圧気味な母のもとでおとなしく暮らしていたしっかり者のハルは、父に誘拐されたことで、海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒とあてどない非日常的な旅をすることになります。
最初はぎこちない2人でしたが、頼りない父と貧しい旅をしていくうちに、本当のお父さん、本当の親子、本当の自分を見つけ、少しずつ親子の絆が深まっていきます。
しかし父と娘の忘れがたい時間も、父の資金が尽きた時に終わりを告げます。
これは夏の貴重な旅の体験が少女を成長させる素敵な物語です。
くるくるコンパス
越谷 オサム 著
ポプラ社
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これは中学校の先生が、まだスマホもナビもない中学生だった頃の修学旅行での出来事を回想した物語です。
さえない中学将棋部の男子3人カズト、シンヤ、シューイチは、転校してしまった部活の仲間の佳織に会うために、京都行きの修学旅行を飛び出して大阪という未知の世界へ踏み出します。
恐ろしい体育教師や、非協力的な班の女子、不慣れな大阪で迷子になりかけたり、不良に恐喝されそうになったりと、不安、恐怖、絶望を経験しながらも、3人の友情を再確認しながら進んだ先には…。
この3人組と同じ世代の中学生にはとんでもないハプニングの連続で、ハラハラドキドキさせられ、また、大人にとっては苦くて痛いような、甘酸っぱくてくすぐったいような、ノスタルジックな気持ちにさせてくれるお話です。
14歳、ぼくらの疾走
ヴォルフガング・ヘルンドルフ 著
木本 栄 訳
小峰書店
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この物語の主人公は、クラスに友達もいなく変人扱いされているさえない14歳の少年マイク。
普段から鬱屈(うっくつ)した学校生活を送っていました。
そのマイクのクラスに型破りな少年チックが転校してきたことで、マイクは大きく刺激を受けるのです。
破天荒なチックのやり方にはじめは面食らっていましたが、二人はいつの間にか意気投合し、夏休みに盗んだオンボロ車に乗って旅に出ます。そして道中での人との出会いや、ハプニングに遭遇していくこ
とで、少しずつ成長していきます。
旅に出ること、それは普段生活している窮(きゅう)屈(くつ)な狭い世界から外に飛び出していくこと、与えられたレールの上を走るだけでは得ることのできない貴重な体験なのかもしれません。
ハーレーじじいの背中
坂井 希久子 著
双葉社
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女子高生の真理奈が医学部に進学したいと望んだことから高い学費を払うため、家業の銭湯を売り払い、マンションに両親と4人の祖父母の7人で暮らすことになります。
しかし、今まで一緒に住んだことのない者同士のギクシャクした生活が真理奈は嫌になり、この環境を作ったのが自分の進学志望であることに責任とプレッシャーを感じるようになります。
そんな真理奈を放浪生活を送っている祖父・晴じいがハーレーに乗せて連れ出すことに。
最初、そのタンデムシート(2人乗りバイクの後部座席)での無理矢理ツーリングに我慢ができないほどの嫌悪感を抱くのですが、7日間の現実からの逃避行が終わった時、真理奈の人生観も変わっていきます。
これは家族の温かさ、人と人のふれあいの大切さが伝わる物語です。
希望の地図
重松 清 著
幻冬舎
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フリーライターの田村は、中学受験に失敗し、いじめが原因で不登校になってしまった友人の息子光司を、東日本大震災の被災地の取材に同行させます。
光司はその地に生きる人達に出会い、見聞きし、感じ、思い、考える中で、自分自身の困難に立ち向かう勇気を持ち、そしてその新しい一歩を踏み出そうとします。
被災地では現在も懸命に復旧活動が続けられていますが、いまだ困難は続いています。
簡単に「希望をもって頑張っていきましょう」とは言えません。
東日本大震災から今年で10年が経ち、また、現在世界中がコロナ禍(か)にある中で、東日本大震災という未曽(みぞ)有(う)の大災害についての記憶を風化させないためにも、この本を読むことによって、あらためて震災について考えてみてはどうでしょうか。
LEAF Vol.66
fromヤングアダルトコーナー
お出かけしたい気分になったら、本を手に 取って気軽に旅をしてみませんか。