LEAF Vol.73 鉄道と世界
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オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティー 著
山本 やよい 訳
早川書房
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雪で立ち往生した列車の中で、十数か所を刺された男性の遺体が発見された。
「殺人犯はわれわれのそばにいる―いまも、この列車のなかに……」
マーダーミステリーの定番らしく始まる本作は、とても定番とはいえない衝撃の結末を迎える。
ミステリーの女王と言われるアガサ・クリスティー。
名探偵ポアロシリーズの本作と「アクロイド殺し」はミステリー界では特に有名な作品なので、ある日突然ネタバレを踏んでしまう可能性がある。
若いうちに読んでおき、この手のミステリーネタに驚く体験をしてみよう。
高校生のとき、何も知らずにとりあえずこの2作を読めたのはとても運が良かったと思っている。
東京メトロ大都会をめぐる地下鉄
深光 富士男 著
佼成出版社
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スマホで動画を見る、蛇口をひねると水が出る、時間どおりに電車が来る、これらの当たり前の生活は、たくさんの人の努力で成り立っているということを認識できているかな?
電車を例にしてみると、車両の製造やトンネルの設計などのハード部分を受け持つ人たちもいれば、電車を正常に運行する運転手さんなどソフト部分を担当する人たちもいる。
ハードとソフトをつなぐ役割をする人もいる。
社会で仕事をしてみるとわかるけど、本当に多くの人たちによってインフラは成り立っているんだ。
東京のインフラを支える東京メトロの職員さんのインタビューが盛りだくさんな本作で、仕事と社会とのつながり、そして自身の将来について考えてみよう。
鉄道写真をはじめよう
メイツ出版
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高価な専用カメラを買わなくとも、スマートフォンで気軽に写真を撮ってみんなと共有できるステキな時代が到来した。
友達と見せ合って楽しむなら、なおさらかっこいい写真を撮りたいよね?
いわゆる「撮り鉄」の初心者向けに書かれた本書は、鉄道写真の種類や撮影テクニック、おすすめのスポットなどの基本が細かく解説されている。
服装、持ち物、マナーなど、意外と見落としやすい事前準備についてもばっちりだ。もちろん、写真そのものも充実しているため、眺めているだけでも楽しいよ。
山手線探偵
七尾 与史 著
ポプラ社
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資金不足で事務所を失った探偵・霧村雨は、山手線を事務所に定め、ぐるぐる回る車内で顧客を探す。
そんな彼のお供は、助手兼広報担当の小学5年生のシホと、霧村をモデルにミステリー小説を書こうとしている、自称ミステリー作家のミキミキだ。
シホの広報のおかげで、「山手線の車内に名探偵がいるらしい」そんな都市伝説めいたネット情報が密かに拡散される中、今日も顧客を待つ3人の目の前で起こった痴漢騒ぎ。
それはやがて、ストーカー事件や連続殺人、そして霧村の心にずっと陰りを落とす、1年程前の事件の真相にもつながるのだった。
時に重い雰囲気の漂う事件もあるが、おませなシホや他力本願なミキミキの軽口のおかげか、ライトミステリとして楽しめる。
地下鉄
ジミー 著
宝迫 典子 訳
小学館
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視力を失った少女が、15歳の誕生日に、閉じこもるだけの生活から抜け出して、白い杖を手に地下鉄へと下りていく。
少女の心象風景を表す地下鉄の情景。人ごみの中では、身の置き所が無く、常に闇の中にいる自分は、いつ起きていつ寝ているのか実感できず。
傷つくことを恐れるなと自分を鼓舞することもあれば、誰かこの暗闇から助けてと悲鳴を上げるときもある。
「あきらめ」と「希望」、「悲しみ」と「喜び」。相反する想いの間で揺れ動きながら、それでも少女は、心の内の小さな光を頼りに、希望を探す一歩を踏み出す。
台湾の作家による絵本は、読み返すたびに新たな発見があり、少しの勇気を与えてくれる。
キップをなくして
池澤 夏樹 著
KADOKAWA(角川文庫)
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「キップをなくしたら駅から出られないんだよ」。
改札の内側で、ポケットに入れたはずのキップを探して慌てるイタルに、中学生くらいの少女・フタバコはそう言った。
駅から出られなくなったイタルがフタバコについて行くと、東京駅のバックヤードにある、駅から出られない子どもが暮らす詰所にたどり着いた。
同じように駅から出られなくなった子たちとの東京駅での暮らしは、衣食住ともに快適で、電車通学の子どもたちを助けるという役割もあって、なんだか充実している。
そんな中、イタルの気がかりは、他の子たちとは少し様子の違うミンちゃん。
全然食事をとらないミンちゃんを心配するイタルに返された言葉は、「私、死んだ子なの」。
まだ自動改札もない昭和の終わりの駅や電車を舞台にした、少年少女の冒険ファンタジー。
シルクロード鉄道見聞録
芦原 伸 著
講談社
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ローマから奈良までの鉄道旅。
「え?なんて?」と聞き返したくなるテーマだが、これは著者が2009年に2カ月をかけてユーラシア大陸を横断した、20000キロに及ぶ旅の記録だ。
時間通りに走らない列車。列車の走行距離を知らない車掌。列車の到着場所を聞けば「多分〇番ホーム」の心もとない返事。
お祈りのために停車する列車に、車窓の先に永遠と続く乾燥地帯。著者の体験する鉄道旅は、どこまでも日本と違い、そして時に過酷だ。
ほのぼのとした、現地の人や旅人との交流がある一方で、軍や警察の監視が厳しい地域もある。
多文化・多宗教・多民族の中を駆け抜ける鉄道旅で、あなたもちょっとした旅行気分に浸ってみよう。
世界と日本の鉄道史
川辺 謙一 著
技術評論社
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日本の鉄道が開業して150年。そこへ至るまでの、世界と日本の鉄道の歴史を見てみよう。
移動や運搬を楽にするため、紀元前3000年ごろに発明された車輪。
それから長い時を経て、16世紀の初めにレールと車輪を組み合わされたトロッコが鉱山で使われ始める。
その組み合わせは、やがて馬が引く馬車鉄道に引き継がれ、そこから蒸気機関車、さらに電車へと進化していく。
一方日本は、鎖国のおかげで鉄道との出会いに出遅れたが、イギリスの技術者の力を借りて、1872年(明治5年)に日本初の鉄道を開業し、他の国に学んで遅れを取り戻しながら、やがて世界初の高速鉄道、新幹線を生み出すまでになるのだ。
きみとホームで待ち合わせ
神戸 遙真 著
講談社
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総武線・西千葉駅が最寄り駅となる作草部高校の一年生たちの5つの恋模様を描く連作短篇集。
家が学校まで徒歩5分で、寄り道ができないのが不満の早坂さんに、白井君が教えてくれるご近所のおすすめスポットはいまひとつ。
一方空気が読めない中村くんが今気になっているのは、病弱な江川さんだけど、そんな江川さんが視線を向けるのは、図書委員の瀬戸くんだ。
その瀬戸くんから、バレンタインチョコをもらった文芸部の深田さんは、小説投稿サイトで交流のある発芽玄米さんに相談をもちかけて……。
校内はもちろん、駅や電車も舞台に繰り広げられる高校生の、この世代こその胸キュンな恋物語を楽しもう!
LEAF Vol.73
fromヤングアダルトコーナー
それならば、せめて本の中で外の世界を旅してみないかい?
今回は、鉄道をテーマに9作の本を紹介するよ。
現実から空想まで鉄道で起こるさまざまなドラマを楽しもう!