「有吉文庫」について
有吉文庫は、昭和二〇から二十一年に有吉忠一氏(1873-1947年)から寄贈された図書です。いっしょに保管されている手紙によると、もともとは有吉氏と交友があった茂木七左衛門氏への贈り物だったものが興風会図書館へ収蔵されたことが分かります。
有吉文庫は資料115点と送付状が添えられた目録があります。
内容は、朝鮮総督府が「朝鮮史」編纂時に参照した主だった史料を複製した「朝鮮史料叢刊」と、史料写真集「朝鮮史料集真」が主なものです。
これらは、現在、「国立国会図書館デジタルコレクション」でも読むことができます。
有吉忠一氏は千葉県、宮崎県、神奈川県、兵庫県で知事を務めたほか、朝鮮総督府政務総監にも就いており、寄贈された書籍はその関係で所蔵していたもののようです。
有吉文庫資料一覧 朝鮮史料叢刊(国立国会図書館デジタルコレクション) 朝鮮史料集真(国立国会図書館デジタルコレクション)
有吉忠一氏と野田線
有吉忠一氏は千葉県知事(1908-1910年)時代に、千葉県営軽便鉄道野田線(現在の東武野田線の一部)の開通に尽力しました。茂木七郎右衛門氏を追悼する「紫國 楽堂翁追悼号」には、有吉氏も寄稿しており、千葉県営軽便鉄道野田線設立の経緯について知ることができます。
紫國 楽堂翁追悼号 有吉文庫寄贈時に送られた、有吉氏から茂木七左衛門氏への手紙にも軽便鉄道に触れられているところがあります。
千葉県営軽便鉄道野田線設立への有吉氏の尽力に感謝し、野田町駅(現在の野田市駅)前の一帯は有吉町と名付けられました。当時の地図で、その名前を見ることができます。
現在も、野田市駅前に「有吉町通り」として、名前が残っています。
(上:野田町大字野田区実測図 |下:千葉県野田町全図 大正4年)
野田町大字野田区実測図
千葉県野田町全図 大正4年