守り人シリーズ 上橋 菜穂子 著/偕成社
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じわじわとファンを増やして行ったこのシリーズ。 アニメ化、シリーズ完結を迎え、とうとう外伝を含めて全10巻にもなる、和製ファンタジーの代表作となった! その身に異世界の住人の卵を抱えてしまったために、父帝から命を狙われる、皇太子チャグム。短槍使いとして名高い、女用心棒のバルサは、ひょんなことから、彼の護衛役となることに。 そこから始まった、チャグムとバルサ、そして周囲の人びと、さらには異世界との奇縁は、巻が進むにつれ深まり、広がり、複雑に絡み合ってゆく。 ご都合主義にならない展開や、確かな描写力が、満足のいく読後感を与えてくれる。
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勾玉三部作 荻原 規子 著/徳間書店
地上の統治を目指す男神・輝(かぐ)の大御神の代理として地上に降り立つ、不死の双子の御子・照日王(てるひのおおきみ)、月代王(つきしろのおおきみ)と、深き地の底で、全ての穢れを引き受ける尊き女神・闇(くら)の大御神を奉じる蘇りの闇(くら)の氏族とが争う乱世の世。 幼いころ、戦火に村を焼かれ、餓死寸前で山をさまよっていたところを、輝(かぐ)の大御神を拝する郷の者に救われた 少女・狭也(さくや)。銀のよろいかぶとを身にまとい戦いに赴く、月代王(つきしろのおおきみ)に憧れを抱く、ごく普通の少女に育った。 ...続き が、ある日村を訪れた楽人(がくじん)達に、狭也こそ闇(くら)の巫女姫だと告げられ…。(勾玉三部作第一部「空色勾玉」) 古代から続く「輝(かぐ)」と「闇(くら)」の対立と、神より下された勾玉を巡り、運命に翻弄(ほんろう)されながらも、自らの力で歩み続けようとする少年少女たちの物語。 それぞれの話は独立したものとしても読むことが出来るが、出来れば第一部から、時代を追って読んで欲しい。 1 空色勾玉 2 白鳥異伝 3 薄紅天女 (クリックすると検索結果へ飛びます) |
月神シリーズ たつみや 章 著/講談社
縄文を舞台にした古代ファンタジー。 太古の昔。草木や生き物、そして川や山。自然の全てにカムイが宿り、人々はその恩恵に感謝し、自然の一員として暮らしていた。だが、ある時海を渡ってやってきたヒメカの民は、神々の物である大地を囲って我が物とし、さらには、長年森に暮らすムラの民を「野人」と称して悪意を向ける。 ...続き 交渉のためヒメカの元を訪れ、魔物扱いされて捕らえられた、ムラの若き長・アテルイと、銀髪の巫者・シクイルケは、 月の神の力を借りて危うく難を逃れる。その逃亡の途中、森の中で出会った、黒髪にひと房混じった銀の髪、そして翡翠色の眼をした少年・ポイシュマ。彼こそ「大きな災いの知らせであり、その災いを退ける英雄でもある」と伝えられる『かがやく尾を持つ星の息子』だった。 神々の時代から、人の時代へと移るその時に、こんな物語が、確かにあったのかもしれない。 1 月神の統べる森で 2 地の掟月のまなざし 3 天地のはざま 4 月冠の巫王 外伝 裔を継ぐ者 (クリックすると検索結果へ飛びます) |
オオトリ国記伝 リアン・ハーン 著/高橋 佳奈子 訳/主婦の友社
珍しい作品をひとつ。オーストラリア在住の英国人作家によるアジアンファンタジーだ。
舞台は日本の戦国時代に似たどこか。禁じられた神を崇め人を殺める事を禁じる隠者の村・ミノ。 そこに住まう人びとは、戦いを厭い、殺生を嫌って穏やかに隠れ住んでいた。 が、その一帯・トウハンの国を治める残虐な領主イイダ・サダムにより村は滅ぼされる。 ...続き 唯一生き残った少年・トマスは、危ういところを隣国オオトリの跡取りオオトリ・シゲルに助けられ、彼の養子となってオオトリ・タケオの名を与えられる。 だが、タケオには隠者である母の血とともに、特殊な能力を持ち、刺客として人殺しを生業とする部族出身の父の血も流れていた。 隠者の優しさを持ちながら、部族の闇と大事なものを奪われる苦しみがタケオを復讐の道へと誘う。 人名・地名等に多少の違和感を感じることもあるが、日本と日本文化を愛し学んだであろう作者の思いが、十分伝わってくる。続編が楽しみな作品の一つ。 (クリックすると検索結果へ飛びます) |
天山の巫女ソニン 菅野 雪虫 著/講談社
夢見の力によって、人々の暮らしを助ける天山の12人の巫女。ソニンもまた、その力を見込まれて、赤ん坊のころ天山へと引き取られた。だがそれから12年。ソニンの夢見の力は開花せず、「見込み違い」だったと、生まれた里へ返されることに。 純粋培養な山の生活で「嫉妬」すら知らないソニンは、里の人たちの考え方や行動にとまどいながらも、暖かい家族に囲まれての生活を楽しんでいた。しかしあるとき、誘われるままに、里のそばを通る王子たちを見に行ったばかりに、穏やかな里の生活と別れを告げ、陰謀の渦の中に巻き込まれてゆく。 巫女として、いわばオチコボレたソニンだけれど、くさらずまっすぐに生きようとする姿は、見習いたいね。 検索へ |